はじめに
「旬のみかん」とは、その時期に収穫され、味や香りが最も良い状態にあるみかんのことを指します。
旬のみかんの特徴
特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 鮮やかな色合いと光沢がある
- 皮が薄く、果汁が多く、甘みと酸味がバランスよく調和している
- 香りが高く、果物本来の風味を存分に味わえる
- 収穫から時間が経っていないため、新鮮で食感が良い
旬のみかんは、その時期にしか味わえない旨みや風味があり、その瞬間を逃さず味わいたいものです。また、旬の時期に収穫されたみかんは、栄養価も高く、ビタミンCやカロテンなどの成分が豊富に含まれています。
旬のみかんの選び方と保存方法
旬のみかんを選ぶ際は、以下のポイントに注意して選ぶことをおすすめします。
旬のみかんの選び方
- 皮の色:
- みかんの種類によって異なりますが、一般的には橙色が濃く、光沢があるものが新鮮な状態を示しています。
- 重さ:
- 重みがあるものは水分が多く、果汁が多い証拠です。
- 柔らかさ:
- 手で軽く握ってみて、少し柔らかく、弾力があるものが適度な熟成具合です。
- におい:
- 爽やかで良い香りがするものが選びやすいです。
また、選んだみかんを美味しく食べるためには、保存方法にも注意が必要です。
旬のみかんの保存方法
旬のみかんは、購入後すぐに食べるのが最も美味しいですが、保存する場合は以下の方法がおすすめです。
- 保存場所の選び方
- 旬のみかんを保存する場合は、風通しの良い涼しい場所を選びます。直射日光が当たる場所や、温度の高い場所は避け、常温で保存してください。
- 保存袋を使う
- みかんは水分が多く、乾燥しやすいため、保存袋に入れると良いでしょう。保存袋に空気を入れず、密封することで、みかんが早く傷まるのを防ぎます。
- 保存期間について
- 保存期間は、温度や湿度によって異なりますが、一般的には2週間程度が目安です。長期保存をする場合は、冷蔵庫に入れるとより長持ちしますが、風味や味わいが劣化する可能性がありますので、できるだけ早めに食べることがおすすめです。
以上のように、旬のみかんを美味しく保存するためには、適切な保存場所と保存袋を用意し、早めに食べるように心がけることが大切です。
旬のみかんの食べごろ
旬のみかんの食べ頃を見極めるためには、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
- 色合い
- 旬のみかんは、色合いが鮮やかで光沢があります。皮の色が均一で、色味が濃くなっているものが、美味しいもののサインです。
- 重さ
- 手に取ったときに、みかんが重く感じるほど果汁が多く、美味しいとされています。また、果肉がしっかりと詰まっているものも美味しい傾向にあります。
- 香り
- 旬のみかんは、香りが高くフルーティーな香りが漂います。強い香りがするものを選ぶと美味しさが期待できます。
- 柔らかさ
- 皮が柔らかくて剥きやすく、果肉がやわらかいものが、美味しいとされています。
おすすめレシピ
旬のみかんは、そのまま食べるのが最もおいしく贅沢な食べ方ですが、たまには気分を変えて、以下のようなアレンジレシピはいかがですか?みかんの美味しさを再発見できると思います!
- 旬のみかんとアボカドのサラダ:
- みかんとアボカドを切り、ミントとレモン汁を加えて混ぜたら出来上がり。
- みかん風味の照り焼きチキン:
- 鶏肉に砂糖、みりん、しょうゆ、みかん汁を加えて照り焼きソースを作り、焼いた鶏肉にかけて完成。
- みかんとヨーグルトのパフェ:
- ヨーグルトにみかんとグラノーラを加え、層になるように重ねたら完成。
- みかんとエビのサラダロール:
- サンドイッチ用のパンにエビ、みかん、レタスを巻いて、マヨネーズソースをつけて食べる。
- みかんとクリームチーズのトースト:
- トーストにクリームチーズとみかんを乗せ、オーブンで焼いて完成。
- みかんのマーマレード:
- 温州みかんの皮を細かく刻み、果肉を搾って果汁を取り出します。果汁と皮、砂糖を鍋に入れて火にかけ、とろみがつくまで煮詰めます。
- みかんのジュース:
- みかんを絞ってジュースにします。氷を入れて冷やすと甘くて爽やかな味わいが楽しめます。
- みかんのパウンドケーキ:
- みかんの果汁を生地に加えることで、しっとりとした食感と爽やかな風味が楽しめます。
人気のみかん一覧
みかんは、世界中で親しまれている柑橘類の一つであり、多くの人々に愛されています。特に、日本では旬の季節には多くの品種のみかんが楽しめ、その中でも人気が高いものが多くあります。今回は、その中でも代表的なみかんをリストアップし、それぞれの特徴や味わいについて紹介していきます。甘酸っぱい味わいや、ジューシーな食感など、それぞれのみかんには個性的な魅力があります。ぜひ、みかんの多彩な魅力を味わっていただければと思います。
温州みかん
- 代表的な産地:日本、特に和歌山県や愛媛県
- 味や見た目の特徴:果皮は薄く、果肉はジューシーで甘味と酸味のバランスがよく、程よい香りがあります。果実は手のひらに収まる大きさがあり、果皮の色は橙色をしています。また、種子が少なく、果汁が多いのが特徴です。
- 他のみかんと比べた価格帯:温州みかんは日本国内で広く栽培されているため、価格帯は比較的手頃です。しかし、産地や品質によっては、他のみかんに比べてやや高めの価格になることもあります。また、海外でも栽培されており、地域によっては高級フルーツとして扱われることもあります。
- 旬:11月から2月頃
温州みかんは日本原産の独自品種で、約1400年前に九州の薩摩(現在の鹿児島県)で偶然の変異により生まれたと言われています[2]。温州みかんは、みかんとオレンジを交配して作られた品種で、タンゴ-ル(tangor)と呼ばれています[1]。皮が薄くてむきやすく、食べやすいことが特徴です[4]。また、比較的手頃な価格で買える庶民的な果物でもあります[2]。
温州みかんは寒さに強く、初心者でも育てやすい家庭果樹栽培では特に人気があります[5]。農研機構(国立)によると、「『みかん』とは皮をむきやすい小型のかんきつ類の総称ですが、一般的には圧倒的に収穫量の多い温州みかんを指す言葉として用いられます」と語っています[3]。
清美タンゴール
- 代表的な産地: 広島県福山市などの西日本が主要産地です。
- 味や見た目の特徴: 清見の爽やかな酸味と、タンゴールの甘味がバランスよく調和した、爽やかであっさりとした味わいが特徴です。果皮は薄めで剥きやすく、果肉はシャキッとした食感があります。
- 他のみかんと比べた価格帯: 清見よりもやや高価な部類に入ります。
- 旬:3月初旬から6月下旬
清見タンゴールは愛媛県や和歌山県で栽培されており、旬は春である3月から6月下旬頃まで収穫されます[1][3]。可食部100g当たりカロリーが45kcalであり、ビタミンCやβクリプトキサンチンも多く含まれています[1][3]。
タンゴールは、みかん類とオレンジの交雑種の総称であり、「タンゴール」=”tangor”という言葉は、みかん類を意味する”tangerine”とオレンジ類を指す”orange”のそれぞれの頭を合わせたものです。清見タンゴールは、アメリカのオレンジと日本の温州みかんを交配して作られた品種であり、温州みかんよりも一回り大きく、種がほとんどないため食べやすいことが特徴です。また、糖度や酸味、香りのバランスが良く、美味しい柑橘類として人気があります。 [1][2][3][4][5]
「清美」と「清美タンゴール」は同じものです。「清見」という品種は、日本で最初に育成されたタンゴールの一種であり、温州みかんの宮川早生とトロビタオレンジを交配して作られました[1][2][3]。温州みかんとオレンジの良さを併せ持っています[2][5]。清見は、扁球形で200g内外の果実であり、果皮は黄橙色で剥皮性が中程度です[5]。清見に含まれる主要成分は、エネルギー、たんぱく質、ビタミンC、水分、脂質、β-カロテン、炭水化物などです[1]。
皮が少し厚く手でむくのが難しいため、ナイフを使って食べるのがおすすめです[4]。 果肉は濃橙色で柔らかく果汁が多く、種は通常入りません(多品種と交雑した場合は種が入る)[1]。
清見の収穫期は1月中下旬ごろから5月頃まで続きます[1]。最も沢山出回り、味も美味しい食べ頃の旬は3月から4月上旬頃だとされています[1][3]。また、ハウス物より露地物の方が概して味が濃く、果汁も豊富だと言われています[1][3]。
清見から生まれた品種には、「不知火(デコポン)」や「はるみ」「せとか」「津之香」「はれひめ」「麗紅」「媛小春」などがあります[1]。
不知火
- 代表的な産地:熊本県、鹿児島県、宮崎県などで栽培されています。
- 味や見た目の特徴:不知火は、皮が薄く、果肉は柔らかく、甘さと酸味のバランスが良いです。また、種が少なく、果汁が多いことが特徴です。外見はオレンジ色で、へたが尖った形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり100円から400円程度です。
- 旬:12月から2月頃
「不知火」は、温州みかんの突然変異種の一つ[2][4]。柑橘類の品種改良には、交雑と枝変わりがある[1]。交雑は人工的に新たな品種を作り出す方法であり、枝変わりは樹園地の中で突然変異を見つけ出す方法[1]。温州みかんも宮川早生という突然変異種であり、他の温州みかんの突然変異種や子孫となる品種に大きく寄与する[2]。
温州みかんは日本を代表する柑橘類であり、「清見」や「不知火」など70を超える品種や系統の直接、間接の親となっている[2]。また、甘さや酸味、果実の形、実がなる時期などが異なる突然変異種が各地で数多く生産されている[2]。「不知火」は、和歌山県有田地方田村地区で、宮川早生(温州ミカン)の枝変わり(突然変異)として発見された品種[4]。
ポンカン
- 代表的な産地:愛媛県、鹿児島県、宮崎県などで栽培されています。
- 味や見た目の特徴:ポンカンは、皮が厚く、果肉は甘くジューシーです。種が少ないことが特徴で、食べやすいことから子供にも人気があります。外見はオレンジ色で、へたが平らな形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり50円から200円程度です。
- 旬:12月から3月頃
ポンカンは、インドのスンタラ地方が原産地[5]。ポンカンの「ポン」は、インドのプーナという地名に由来すると言われている[1][2][3][5]。プーナを音写したものが「椪柑」の「椪」となり、中国音で「ピエン」と発音される[2]。日本では、「ポン」と発音された[2]。そして、「カン」は柑橘類を表す「柑」からきている[1][2][3]。「椪柑」を漢字にすると「椪柑」となり、これが日本でポンカンと呼ばれるようになった[1][2][3]。
ポンカンは明治時代に日本に伝わり、主に九州南部で作られている[4]。果実はやや大きく、多汁で香り・甘味が強く食べやすい品種[4][5]。
デコポン
- 代表的な産地: 愛媛県など四国地方や九州地方など全国各地で栽培されていますが、愛媛県が最も有名です。
- 味や見た目の特徴: 酸味が少なく、とても甘みが強いのが特徴で、果皮が厚めで剥きにくいのが難点です。果肉はほどよい柔らかさで、ジューシーで濃厚な味わいがあります。
- 他のみかんと比べた価格帯: 普通のみかんと比較して高価な部類に入ります。
- 旬:1月から3月頃
不知火=(不知火<糖度<デコポン)=デコポン(熊本県)=デコみかん=デコ媛(愛媛県)
デコみかんは、不知火(しらぬひ)という品種のみかんで、外見上の凸が特徴的なみかんです。デコポンも不知火という品種に属しており、デコポンとデコみかんは同じ品種です。不知火は、清見とポンカンを交配して生まれた品種であり、果皮が薄く剥きやすく、種もなく食べやすいことが特徴です。また、糖度が高く食味に優れていることから人気があります。 [1][2][3][4][5]
また、デコみかんとデコポンは同じ品種であり、どちらも不知火(しらぬひ)というみかんの品種に属しています。ただし、デコポンはJA熊本果実連が商標登録した呼び名であり、デコみかんは商標登録されていない呼び名です。つまり、両者の違いは呼び名の違いであると言えます。 [1][2][3][4][5]
また、不知火とデコポンは同じ品種であり、熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)で栽培されたみかんの一種です[4]。不知火は1972年に長崎県で清見オレンジと中野3号ポンカンを交配して誕生しました[4]。デコポンは、JA熊本果実連が所有する登録商標であり、ある一定の基準を満たして農協から販売されています[2][3]。不知火のなかでも糖度13.0度以上、酸度1.0度以下などの条件をクリアしたものにつけられる名称がデコポンです[4]。光センサーでチェックされた糖度とクエン酸の全国統一基準をクリアしたものだけが『デコポン』と名付けられます[5]。
不知火とデコポンは形が似ていることから混同されることがありますが、厳密に言えば違いがある点もあります[4]。しかし、両者は同じ品種であるため、味や栄養面では大きな違いはありません[5]。ビタミンCの含有率が多く、2個程度で成人1日分の必要量が摂取できます。また、β-クリプトキサンチンが豊富で、房ごと食べられるため食物繊維も摂取することができます[5]。
「デコみかん」と「デコ媛」は、いずれも愛媛県で生産されているみかんのブランド名です。
「デコみかん」の特徴は、鮮やかなオレンジ色と厚い皮で、果肉はジューシーであまみがあります。また、皮を剥かずにそのまま食べることができるのが特徴です。代表的な産地は、愛媛県の南予地域で、10月下旬から2月下旬頃にかけて収穫されます。価格帯は、1個あたり100円から200円程度です。
一方、「デコ媛」は、「デコみかん」よりも果皮が薄く、皮ごと食べられることが特徴です。果肉はデコみかんよりも甘く、爽やかな酸味があります。代表的な産地は、愛媛県の西予地域で、12月から2月頃にかけて収穫されます。価格帯は、1個あたり150円から300円程度です。
せとか、瀬戸かん、Setoka
- 代表的な産地:和歌山県、奈良県、三重県など
- 味や見た目の特徴:糖度が高く、甘みが強く濃厚な味わいが特徴的です。果皮は薄く、果汁が多いことが特徴で、食感がジューシーで柔らかいと言われています。
- 他のみかんと比べた価格帯:比較的高価で、1個あたり100円~200円程度が一般的です。
- 旬:1月頃から4月頃まで
「せとか」という柑橘類は、長崎県口之津町で育成された「清見」と「アンコール」を掛け合わせたものに、「マーコット」を交配して誕生した品種です[1][2][4]。この品種名は、育成地が長崎県島原と熊本県天草の間にある「早崎瀬戸」海峡のそばに位置すること、中国・四国の「瀬戸内地方」で普及が期待される芳香のある柑橘類であることに由来します[2][4]。2001年(平成13年)に品種登録されました[4]。
せとかは、果皮が少し濃いめの橙色で、サイズは250g前後です。糖度が高くてやさしい酸味があり、濃厚で優れた風味を持ちます。果肉はやわらかく果汁が豊富で、じょうのう膜(薄皮)がとても薄く袋ごと食べられます[4][5]。収穫時期はハウス物では12月中旬頃から始まりますが、露地物は2月頃から収穫され3月まで出回ります[3][4]。
はるみ
- 代表的な産地:愛媛県、高知県など四国地方を中心に栽培されています。
- 味や見た目の特徴:はるみは、皮が薄く、果肉は甘く、ジューシーな味わいが特徴です。種が少なく、果汁が多いため、ジュースにしても美味しいです。外見はオレンジ色の丸い形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり50円から200円程度です。
- 旬:2月から3月頃まで
「はるみ」は、清見とポンカン(F-2432)を交配して育成されたミカンの品種[1][2][3][4]。清見は日本原産のミカンであり、ポンカンは中国原産のミカン[1]。清見とポンカンを掛け合わせて作られた「はるみ」は、糖度が比較的高く食味が良好で、易剥皮性でじょうのうが薄く少核性なため食べやすい[2]。1999年に品種登録された[3]。
「はるみ」は、農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所の興津支場で育成された[3]。明治29年に鹿児島に伝来したインド原産の柑橘類を経て、昭和54年に現在の果樹試験場興津支場にて、「清見」と「ポンカン(F-2432)」を交配して育成された[1]。「はるみ」は1月下旬から出荷され、旬は2月から3月上旬頃[3][4]。
紅まどんな、紅マドンナ、Beni Madonna
- 代表的な産地:愛媛県
- 味や見た目の特徴:果実は小型で、甘酸っぱい味わいがあります。果皮は薄く、果汁が多く、種が少ないのも特徴です。果肉はオレンジ色で、色鮮やかな見た目が特徴的です。
- 他のみかんと比べた価格帯:比較的高価で、1個あたり100円~200円程度が一般的です。
- 旬:12月から2月頃まで
- 「紅まどんな」は、愛媛県が育成したオリジナル柑橘で、「愛媛果試第28号」という正式な品種名があります[5]。1990年から育成が行われ、2005年に品種登録されました[3]。紅まどんなは皮の色が濃く、全体が色づきが鮮やかで皮にツヤがあり、みずみずしさを感じるものを選ぶと良いです[2]。また、持ったときに重みを感じるものが良品とされています[2]。
「南香」と「天草」という品種を両親に持ち、糖度が高く酸抜けも早いことに加え、大玉で美しい外観から人気を集めています[3][5]。「紅マドンナ」の来歴やゼリーのような果肉が特徴です。
伊予柑(いよかん)
- 代表的な産地: 愛媛県松山市周辺が主要産地です。
- 味や見た目の特徴: 果皮が薄く、酸味が強めで香りがよく、果汁が豊富であるためジューシーな食感が特徴です。また、果肉がとても甘く、糖度が高いのも特徴の一つです。
- 他のみかんと比べた価格帯: 一般的な普通のみかんと比較してやや高価な部類に入ります。
- 旬:11月から1月頃まで
「伊予柑」は、明治19年に山口県阿武郡東分村(現萩市)の中村正路氏の園で発見された柑橘類[3]。当初は「穴門蜜柑」と呼ばれていたが、明治時代中期頃から愛媛県に移植され、盛んに栽培されるようになりました[2][4]。愛媛県はかつて「伊予の国」と呼ばれていたことから、「伊予蜜柑・伊予美柑(いよみかん)」や「伊予柑(いよかん)」と呼ばれるようになった[2][4]。昭和初期に正式名として、「伊予柑(いよかん)」と名付けられました[4]。
「伊予柑」は、日本列島の在来種の柑橘類であり、タンゴールの1種です[5]。果実の皮が濃いオレンジ色で、果汁と香りが豊かで、甘く濃厚な味わいがある[5]。「伊予柑」はビタミンCを多く含み、健康効果も期待されています[3]。
文旦(ぶんたん)
- 代表的な産地:中国・福建省、広東省など
- 味や見た目の特徴:大きくて皮が厚く、果肉が多くてジューシー。皮は縦に剥くと網目模様が現れ、果肉はほのかな甘みと酸味があります。
- 他のみかんと比べた価格帯:文旦は比較的高価で、1個あたり100円以上の価格がつくことが多い。
- 旬:12月から2月頃まで
「ブンタン」は、中国原産の柑橘類である「ポモロ」と「スダチ」を交配して生まれたとされています[4]。また、果肉が淡い黄色の品種を文旦(ブンタン)、果肉が赤い品種を謝文(ジアブン)と呼び分けたとも言われています[1]。日本においては、鹿児島に伝わったものが「ブンタン」と呼ばれ、ポルトガル人によって長崎に伝わったものが「ザボン」と呼ばれています[2]。
現在では、「ブンタン」は高知県で主に栽培されており、甘みがあり苦みは控えめで果汁は少なめです[3]。また、「土佐文旦」という品種も存在し、昭和4年に設置された高知県農事試験場園芸部で原木が作られたとされています[4]。愛媛県でも「媛小春」という品種があり、「清見」と「黄金柑」を交配したものだとされています[2]。
以上から、「ブンタン」は中国原産の柑橘類である「ポモロ」と「スダチ」を交配して生まれたとされており、日本では鹿児島から伝わったものが「ブンタン」と呼ばれるようになりました。現在では高知県で主に栽培されており、「土佐文旦」という品種も存在します。
河内晩柑
- 代表的な産地:日本、大阪府や奈良県などの河内地域
- 味や見た目の特徴:果皮は薄く、果肉はやわらかくジューシーで、甘味が強く酸味は控えめです。果実は手のひらに収まる小ぶりなものが多く、皮の色は橙色をしています。果肉の色は濃いオレンジ色で、種子がほとんどないのが特徴です。
- 他のみかんと比べた価格帯:河内晩柑は地域限定品とされており、産地周辺では比較的手軽に入手できますが、一般的にはやや高めの価格帯になります。また、栽培地域が限定されているため、市場に出回る量が少ないことも、価格が高くなる一因とされています。
- 旬:11月から12月頃まで
河内晩柑は、1920年頃に熊本県飽託郡河内町(現在の熊本市)で発生した文旦の偶発実生[3]。名前はその発見された地名の「河内」と、晩成の柑橘類ということで名付けられた[2][3]。河内晩柑は、ブンタンの血を引いていると考えられている[2]。収穫時期が春頃から夏の終わり頃まであり、春から初夏にかけて収穫されたものは果汁が多くみずみずしい食味を楽しめる[3]。逆に夏の盛りまで木成りで熟成されたものは、適度に水分が抜け、さっぱりとした甘味の食感が楽しめる[3]。
河内晩柑は可食部100gあたりカロリー35kcal、ビタミンC36mg含有しており、栄養価も高い[4]。
八朔(はっさく)
- 代表的な産地:愛媛県、高知県、徳島県など四国地方を中心に栽培されています。
- 味や見た目の特徴:はっさくは、皮が薄く、甘酸っぱい味わいが特徴です。また、果肉が緻密でシャキシャキとした食感があります。外見はオレンジ色の丸い形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり50円から200円程度です。
- 旬:11月下旬から2月上旬頃まで
八朔は、ミカン類とオレンジ類の交雑種である[1][4]。正確な起源は不明だが、明治時代に山口県萩市で発見された[1][2]。その後、愛媛県で本格的に栽培が始まり、地名の「伊予」から「いよかん」と呼ばれるようになった[4]。八朔も同様に日本特有の柑橘フルーツであり、広島県因島市でも発見された[3]。旧暦の8月朔日頃から食べられることから、「八朔」と名付けられたそうだ[3]。
交雑種として生まれた八朔は、木の性質や果実はブンタンに近い特性があると考えられている[5]。
甘夏
- 代表的な産地:愛媛県、大分県、熊本県などで栽培されています。
- 味や見た目の特徴:甘夏は、皮が薄く、果肉は甘く酸味があります。種が少なく、果汁が多いため、ジュースにしても美味しいです。外見はオレンジ色で、へたが尖った形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり50円から200円程度です。
- 旬:1月下旬から6月上旬頃まで
「甘夏」は、ミカン類とオレンジ類の交雑種であり、正確な起源は不明ですが、明治時代に山口県萩市で発見されました[1]。その後、愛媛県で本格的に栽培がスタートしました[1]。「新甘夏」は、「川野夏橙」の枝変わり品種であり、1962年に熊本県田浦町(現:芦北町)の山崎寅次氏の園地で発見されました[2]。
ネーブルオレンジ
- 代表的な産地:愛媛県を中心に、広島県や熊本県でも栽培されています。
- 味や見た目の特徴:ネーブルオレンジは、皮が薄く、果肉は甘く、ほのかな酸味があります。また、種が少なく、果汁が多いことが特徴です。外見はオレンジ色の丸い形をしています。
- 他のみかんと比べた価格帯:1個あたり100円から300円程度です。
- 旬:2月上旬から4月中旬頃まで
ネーブルオレンジは、1820年頃にブラジルのバイア近くのカブラ(現在のサルバドール)でスペインから導入された種子のあるセレタオレンジから、種子が殆どなく果頂部が二重果になる突然変異枝変わりとして誕生したと言われています[2]。ネーブル(navel)とは哺乳動物のへそのことですが、ネーブルオレンジをへそ(写真)みかんと見立てたのは、原産地ブラジルのバイア近くのカブラ(現在のサルバドール)の人々だったようです[2]。植物では、へそ(hilum)は種子にあり、へそとは種子が幼い胚であった時に母体から栄養を受けていた胎座の跡を指します。植物の種子はへそから吸水して発芽を開始します。ネーブルオレンジのように果実の果頂部にうもれて果実中にさらに二重的果実がある場合は重嚢(嚢)と呼んでいます[2]。
交配技術自体は存在しますが、ネーブルオレンジ自体は交配品種ではありません[1][4][5]。
セミノール
- 代表的な産地:アメリカ合衆国フロリダ州
- 味や見た目の特徴:果皮はやや厚く、皮と果肉の間には白い膜があります。果肉はジューシーで、酸味が強く、甘味はやや控えめです。果実自体は大きく、重みがあるのが特徴です。
- 他のみかんと比べた価格帯:セミノールはフロリダ州が主産地であり、アメリカ国内で比較的手軽に入手できるため、価格帯は比較的低めです。
- 旬:4月上旬から5月中旬頃まで
「セミノール」という柑橘類は、1965年にフロリダ州で発見された交配種です。セミノールは、マンダリンオレンジとグレープフルーツの交配種であり、果物の大きさはグレープフルーツに近く、果皮は薄く、甘みと酸味がバランス良く調和した風味を持ちます。
交配は、人工的にまたは自然に行うことができます。フロリダ州では、柑橘園主が異なる柑橘品種の木を植え、風や昆虫などの自然交配を促すことがあります。また、専門家が花粉を採取して交配を行うこともあります。交配後、種子から新しい植物が生まれる可能性があります。その後、この新しい植物が品種改良され、新しい柑橘品種が誕生することがあります。
カラマンダリン
- 代表的な産地:日本、特に愛媛県
- 味や見た目の特徴:果皮は薄く、果肉はジューシーで甘みがあります。温州みかんに似た味わいがありますが、より強い香りと風味を持ち、柑橘系の果物の中でも特に美味しいとされています。果実は小ぶりで、手のひらに収まる大きさがあります。
- 他のみかんと比べた価格帯:カラマンダリンは、日本の特産品であることから、他の柑橘類と比べると価格帯はやや高めです。しかし、愛媛県のような主産地であれば、旬の時期には比較的手頃な価格で購入できます。
- 旬:2月上旬から5月上旬頃まで
「カラマンダリン」は、1915年にカリフォルニア大学のフロスト博士が、尾張系温州ミカンとキングマンダリンを交配して育成した品種[1][3][4]。1935年に命名され、発表された[1]。カラマンダリンは、温州ミカンに似た大きさであり、春に食べられるみかんとしても知られている[2]。果実の香りは強く、果肉は橙色で柔軟多汁であるが、減酸が遅く4月以降が可食期[3]。
日本では少量ながら生産されており、3-4月にかけて収穫され、減酸した後に出荷されます。減酸には2週間から1か月を要し、4-5月に流通します。生産現場では「晩生みかん」・「春のみかん」として扱われます。2013年(平成25年)の日本国内の栽培面積は146ha、出荷量は2,592tであり、愛媛県が全出荷量の65%を占めています[5]。
まとめ
みかんの旬の時期には、多くの美味しい品種が収穫されます。今回は、その中でも人気が高いいくつかのみかんを紹介しました。今回紹介しきれなかったみかんもまだまだたくさんあります。それぞれのみかんには、甘酸っぱい味わいやジューシーな食感、独特な香りなど、個性的な魅力があります。また、栄養面でもビタミンCやカロテンなどの栄養素を多く含んでおり、健康にも良い果物として知られています。旬の時期に、その時期限定の味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。また、近年では、季節外れでもスーパーなどで手軽に美味しいみかんが購入できるので、通年で楽しめます。みかんは、手軽に食べられる上に栄養価も高く、美味しさも抜群です。ぜひ、みかんを食べて、健康で美味しい生活を送ってみてください。
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