【シリコンバレー銀行倒産】金融業界に与えた影響と今後の展望

シリコンバレー銀行 倒産 ビジネス
シリコンバレー銀行 倒産

シリコンバレー銀行倒産の背景と原因について

背景と原因

  • シリコンバレーバンク(SVB)は、米国西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきた銀行であり、新興企業向け投資を受けているベンチャー企業と取引があった。しかし、FRBによる利上げで有価証券の価格が下落し、含み損を抱えた。さらに、利上げで金融環境が厳しくなったテック企業が預金を引き出すと手元資金が不足し、損失を抱えた証券を売らざるを得なくなり、信用不安から預金引き出しが相次ぎ破綻した。
  • SVBは預金減少に対処するため資本調達を試みたが、FRBの利上げで価値が大きく低下した米国債で18%以上も含み損を抱えていた。また、FRBによるこの1年の積極的な利上げでスタートアップ業界の資金調達など財務面の状況が悪化したことも大きく影響した。
  • SVBは新興企業向け投資を受けているベンチャー企業と取引しており、急な破綻により他銀行やスタートアップ企業に影響が出る可能性がある。

シリコンバレー銀行の業績や経営状況の説明

  • シリコンバレーバンクは、1983年に設立された銀行で、主にIT関連のスタートアップ企業を対象に積極的な融資を行っていた。決算報告によると、米国で新興企業向け投資を受けているベンチャー企業の5割近くと取引があったという。預金はこの3年で3倍超に増え、22年末時点で1754億ドルに達した。しかし、シリコンバレーバンクは集めた資金を融資よりも住宅ローン担保証券(MBS)や米国債といった有価証券に投じており、米連邦準備制度理事会(FRB)が繰り返した利上げでこうした証券の価格が下落し含み損を抱えていた。
  • 2023年3月10日、シリコンバレーバンクは債務超過に陥り経営破綻したと発表されました。同銀行の総資産は2000億ドル余り(日本円でおよそ28兆円)であり、アメリカ国内の銀行破綻では2008年に起こった貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルに次ぎ2番目の規模となります。FDIC(連邦預金保険公社)が国選管財人として資産を引き継ぎました。

シリコンバレー銀行倒産の原因となった要因の解説

  • アメリカのシリコンバレー銀行が破綻した原因は、利上げによって価格が下落した債券の売却で損失が出て経営が悪化し、顧客からの預金の引き出しが相次いだことなどが報じられています。また、主な顧客である新興テクノロジー企業の資金繰りがFRB(米連邦準備制度理事会)の急速な利上げで悪化し、経営環境が厳しくなっていたということも報じられています。
  • シリコンバレー銀行は、新興テクノロジー企業を中心に取引を行っており、その資金調達に貢献していました。しかし、FRBによる利上げによって企業の資金調達が困難になり、シリコンバレー銀行自体も経営環境が厳しくなったとされています。
  • このように、シリコンバレー銀行倒産の原因は複数あります。一方でアメリカ政府は信用不安の払拭に努めており、「アメリカの銀行システムは強固なままであり、金融監督当局には有効な措置がある」とイエレン財務長官は声明しています

シリコンバレー銀行倒産による金融業界への影響

金融業界への影響

  • 2023年3月10日、カリフォルニア州の銀行規制当局は、米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行を閉鎖した。この破綻は、2008年のリーマンショック以来最大規模であり、世界的に銀行株が売られた。主な顧客である新興テクノロジー企業の資金繰りがFRB(米連邦準備制度理事会)の急速な利上げで悪化し、経営環境が厳しくなっていたとされている。
  • シリコンバレー銀行は、スタートアップ企業に特化した銀行であり、テクノロジー企業にとって重要な資金調達先だった。そのため、シリコンバレー銀行の破綻はスタートアップ企業や他の金融機関に影響を与える可能性がある。ただし、イエレン財務長官は声明で「アメリカの銀行システムは強固なままであり、金融監督当局には有効な措置がある」と述べており、市場への影響を抑えようとしている。
  • 今後もシリコンバレー銀行倒産が引き起こす金融業界への影響について注目される。

金融当局が取った措置や対応策の解説

  • 2023年3月10日、カリフォルニア州の銀行規制当局は、米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行を閉鎖した。同行は、新興テクノロジー企業を主な取引先としており、総資産が約2090億ドルで全米16位だった。この破綻は2008年の金融危機で起きた貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルの破綻以来の規模となる。
  • 規制当局は、米連邦預金保険公社(FDIC)を管財人として選任し、その管理下でシリコンバレー銀行の資産が処分されることになっている。FDICによると、シリコンバレー銀行の本店および全支店は13日に再開され、遅くとも13日午前には預金の引き出しに応じることができる。
  • この破綻により、米国の銀行株が失った時価総額は過去2日間で1000億ドル以上に上り、欧州の銀行株も約500億ドルを喪失した。

シリコンバレー銀行倒産とFintech企業の今後の展望

シリコンバレー銀行倒産がFintech企業に与えた影響の解説

  • 2023年3月10日、シリコンバレー銀行(SVB)が破綻し、カリフォルニア州の金融監視機関によって閉鎖された。SVBはベンチャー企業向けの金融機関であり、テックセクターの主要な貸し手であった。SVBは暗号資産関連にも投資しており、FTXやSilvergate Bankの破綻を見越していたとされる。FDICは預金全額保護を表明したが、25万ドルを超える部分の扱いがまだ決まっていない。
  • この事件がfintech企業に与える影響は不透明である。SVBは米国内のスタートアップへの積極的な融資で知られており、米国のスタートアップの約半数、2022年に新規株式公開(IPO)したテック企業の44%と銀行取引があった。ただし、LendingClubやPayoneerなど一部のfintech企業はSVBと関係があったものの、その影響は限定的であり、「当社進行中ビジネスやオペレーションにリスクを与えるものではなく」と述べられている。

Fintech企業に対する今後の規制の見通しについて

  • フィンテック企業に対する今後の規制の見通しについては、横断化が進めば将来的には銀行免許付与などが必要となる可能性がある。また、2021年はコンプライアンス部門とガバナンス・プロセスへの負担が予想されており、規制当局はコンプライアンス・プログラムの有効性を検討するとともに、企業がコンプライアンス機能に十分なリソースを投入することを期待している。
  • 一方で、米国ではフィンテック市場の成長を促進するために政府規制が導入されている。このような政府規制は技術革新や利用者の便宜の促進、国民経済の向上を期待しており、フィンテック企業も含めたレベル・プレイング・フィールド(競争上の公平性)の確保等が目的である。具体的には決済サービス指令改定が図られており、EUでは決済サービス市場の効率化や利用者保護等を目的とした登録制度が設けられている。
  • 以上から、フィンテック企業に対する今後の規制は国や地域によって異なり、技術革新や利用者保護等を目的とした政府規制が導入される可能性があることがわかった。

シリコンバレー銀行倒産が米国金融システム全体に与えた影響

シリコンバレー銀行倒産が米国金融システム全体に与えた影響の解説

  • シリコンバレーバンクの破綻は、米国金融システム全体に与える影響について、懸念があったものの、当局は同行の全預金を保護することを決めた。SVBフィナンシャル・グループ(SIVB)の株価暴落は、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどの大手銀行株を圧迫している。市場では、他の金融機関の有価証券にも損失が発生するとの懸念から、リスクオフの動きが顕著であった。ただし、SVB固有の事情が主因であることから、他行も同じ状況と考えることは行き過ぎた懸念であるという声も聞かれた。
  • 米財務省、FRB(米連邦準備制度理事会)、FDIC(米連邦預金保険公社)は3月12日、SVBとシグネチャー・バンク(暗号資産関連企業と取引)の預金を全額保護する例外措置を発表した。FRBは同日、SVBの破綻を機に金融システム全体が機能不全に陥る「システミックリスク」を抑制するため、新たな流動性対策(Bank Term Funding Program, BTFP)を発表した。

金融業界におけるシステムリスクや信用リスクの問題点の考察

  • 金融業界におけるシステムリスクや信用リスクの問題点は、海外ファンドや低信用先との取引に関する戦略やリスク管理の枠組みが不十分であることが挙げられる。また、金融機関が貸し付けた資産(オフバランス資産を含む)の価値が減少ないし消失し、金融機関が損失を被る「信用リスク」も存在する。さらに、信用リスク移転取引は多くの場合、「借り手」と「貸し手」の関係に変更を加え、金融システムを不安定化させかねない点がある。
  • これらの問題点に対処するため、金融機関は海外ファンドや低信用先との取引において戦略的なリスク管理を行う必要がある。また、金融機関は信用リスク管理を徹底することで、貸し付けた資産(オフバランス資産を含む)の価値減少や消失による損失を最小限に抑えることができる。さらに、中央銀行は市場参加者に過大な報告負担を課さずに信用リスク移転に関するデータベースを充実させていく手立てについて現在検討中である

米国金融システム全体の改善策の見通しについて

  • 日本と国際的な金融システムに関する改善策について、いくつかの提言がある。日本の財務省は、マクロプルーデンスの強化、リスク管理の改善、透明性の向上、市場の公正性の促進、監督カレッジ設置、国際的な連携強化を分野において大きな進展があると報告している。また、日本金融庁は金融機関に自律的な改善を促すために障害の真因及び改善策の実効性を検証することを通じた取り組みを行っている。
  • 国際的な視点からは、IMFは2017年10月公表の世界経済見通しで説明されているように、世界的に経済活動が上向きであり、これが市場センチメントの向上に繋がるとともに金融不安定化のリスクは当面低下すると報告している

今後の金融業界に求められること

今回のシリコンバレー銀行倒産を教訓として、金融業界に求められることについての考察

  • シリコンバレー銀行の破綻は、金融業界に求められることを考える上での教訓となる。シリコンバレー銀行は、テック企業向けに資金調達やサービス提供を行う銀行であり、テック企業が急速に成長する中で需要が高まっていた。しかし、シリコンバレー銀行は不良債権が増加し、経営状態が悪化していた。このような状況下でシリコンバレー銀行が破綻したことから、金融業界に求められることは、顧客の信用リスク管理や貸し倒れ対策の強化である。
  • また、シリコンバレー銀行の破綻は金利上昇や景気悪化に伴う混乱を引き起こす可能性がある。これから金融市場が新たな試練に直面する可能性もあるため、金融業界ではリスク管理能力の向上や危機管理体制の整備が求められている。
  • さらに、シリコンバレー銀行の破綻は他の大手銀行株価にも影響を与えており、金融業界全体で信用リスク管理や貸し倒れ対策を強化する必要性がある。

金融業界の持続可能性や社会的責任の観点からの取り組みについての提言

  • 近年、民間金融機関や機関投資家が主体的にサステナブルファイナンス(持続可能な社会を実現するための金融)を拡大させており、ESG投資額も増加している。ESG投資には、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素が含まれる。PRIという責任投資原則が公表されたことで、ESG投資における規範が定められた。また、2018年の世界のサステナブル投資残高は約3,000兆円とされている。
  • 日本国内でも金融機関はSDGs(持続可能な開発目標)に取り組んでおり、SDGsを実現するための取り組みは社会インフラの一部として位置付けられている。例えば、気候変動に対応するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やグリーンボンド原則などが改訂されている。また、金融庁も「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表し、東京証券取引所も「コーポレートガバナンス・コード」を改訂した

まとめ

シリコンバレー銀行倒産が引き起こした影響や問題点の総括

  • 2023年3月10日、シリコンバレーバンク(Silicon Valley Bank=SVB)が米連邦預金保険公社(FDIC)によって経営破綻が宣告され、事業を停止することが発表された。この銀行の破綻は、テクノロジー産業の不振、金利上昇による債券投資の損失、逆イールドの進行による利ザヤの縮小など主に3つの逆風が背景にあった。この事件は、銀行業界全体に影響を与える可能性があると報じられている。
  • シリコンバレーバンクは、ベンチャーキャピタル(VC)やVC出資のスタートアップへの融資を手掛けており、その危機を受けて他の金融機関にも同様の問題が飛び火するという懸念から、米株式市場では銀行株に連想売りが広がった。また、この事件はグローバル金融市場でもリスク回避傾向を強めさせる可能性があると報じられている。
  • シリコンバレーバンクは日本でも知名度が高く、日本企業やスタートアップ企業なども取引先として多く持っていた。そのため、日本企業や投資家にも影響を与える可能性がある

今後の金融業界に求められることや展望のまとめ

  • 金融業界は人々のお金を扱うため、責任が問われるビジネスであり、業界内の制度が細部まで整っていることが求められます。今後の金融ビジネスでは、銀行、証券、保険などの業態を問わず、個人の経済的な「安心」をサポートするための取り組みが強く求められることになるでしょう。また、金融機関は自らの存在意義を再考するパーパス経営への関心が高まっており、新しい金融サービス創出への取り組みも必要です。
  • 金融業界は現在変革期にあります。Fintechやブロックチェーン技術など新しいテクノロジーを活用したサービスやビジネスモデルが登場しています。これにより従来型の金融機関は競争力を失いつつあります。そのため、金融機関は自社に合ったテクノロジーを導入し、顧客ニーズに合ったサービス提供を行うことが求められています。
  • また、日本ではデフレや景気低迷が続く中で大手銀行の統合などによって業界地図が塗り替えられました。このような状況下で日本の金融機関は体力強化に向けて地道な努力を続けてきました

読者に対する今後の注意点やアドバイスの提供

  • 金融業界に興味を持っている読者に対して、今後の注意点やアドバイスを提供します。金融業界は急速に変化しており、新しい技術やビジネスモデルが導入されています。そのため、金融業界で働く人々は常に最新の情報を追いかけ、自己研鑽する必要があります。
  • 金融業界は高度な知識とスキルが求められる分野です。そのため、金融業界に進む前にはしっかりと勉強し、自分自身の能力や適性を見極めることが重要です。また、金融業界で働く人々は常に正確性や慎重さが求められます。誤った情報を伝えたり、ミスを犯したりすることは許されません。
  • 最後に、金融業界で働く人々は常に倫理観を持ち続けることが求められます。金融商品やサービスの提供者として、顧客の信頼を得ることが必要です。そのため、倫理的な問題についても十分な知識を持ち、適切な行動を取ることが大切です。

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